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当事務所の無罪事例【一審無罪】

傷害致死事件

事案の概要
父親である被告人が生後1ヶ月の赤ちゃんに対して、頭部を暴力的に揺さぶる暴行を加えて、硬膜下血腫、脳浮腫、左目網膜出血、多発性肋骨骨折等の傷害を負わせ、志望させたという事件。

争点
 被告人は我が子に対する暴力的揺さぶりや暴行の全てを否認し、そのような暴行があったかどうか、暴行がないとすれば、赤ちゃんに生じた傷害結果がどのような原因によるものか。

審理の内容
本件はいわゆるSBS(揺さぶられっ子症候群)という、3徴候(硬膜下血腫、脳浮腫、眼底出血)があれば暴力的に揺さぶったとする理論が争われた事件である。
赤ちゃんにこれらの傷害が生じていたことに争いはなく、外傷によるものか、内因性の病気等によるものかが争点となった。
検察官は、SBS理論を推進する小児科医や脳神経外科医の証言を立証の柱とし、弁護側もSBS理論の問題点を明らかにし、赤ちゃんの死亡原因が外傷ではなく、内因性の病気による疑いがあることを立証するために、脳神経外科医、法医学者等を証人とした。
また、被告人が我が子を可愛がっており、暴行などするはずがないという立証をした。

弁護活動のポイント
本件では、SBS理論という医学界でも難しい点が争点となり、医師が合計6人証人として出廷した。一般市民に分かりやすく尋問をするために、前提となる医学用語やイラストなどを書証化した。
また、それぞれの傷害結果の原因が、被告人による行為でなくとも生じ得ることを丁寧に立証した。

判決の内容
本件各傷害を、個別に見れば、いずれも揺さぶる暴行のみにより生じたものであると断定することはできず、いずれの傷害についても、別の機序による医学的に合理的な説明が可能である。
検察官が主張するように一元的な原因で生じたと断じることには無理がある。
事件にいた流刑か、動機の有無やその合理性、事件後の被告人の行動などの事情からは、被告人が犯行に及んだことには合理的疑いが残る。

判決日
令和2年2月7日

その他備考
検察官が控訴したものの、控訴棄却となり確定。