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当事務所の無罪事例【上訴審無罪】

殺人、殺人未遂、道路交通法違反事件

事案の概要
被告人が普通自動車を運転して、赤信号出一旦停止した後発進し、横断歩道を歩行中の歩行者を跳ね、1名を死亡させ4名に傷害を負わせた事件。

争点
被告人は統合失調症に罹患しており、犯行時責任能力があったかどうか。
被告人に殺意が認められるか。

審理の内容
第1審は裁判員裁判で行われ、上記争点が争われたがいずれも検察官主張が認められ、被告人は完全責任能力、殺意有りで、懲役8年の刑となった。
本件では捜査段階に検察側の鑑定で精神鑑定が行われ、第1審では弁護側の依頼で鑑定した医師も法廷に出廷し証言した。
第1審判決は、検察側鑑定医の証言に依拠し、病状はそこまで重くないことや、事件直前まで運転できていたことなどを根拠に、完全責任能力と判断した。
控訴審から当事務所が受任して活動した。

弁護活動のポイント
被告人の病状把握や、責任能力の判断手法に関して、検察側鑑定医の見解に重大な問題があったことから、控訴審でも新たに精神科医に鑑定を依頼し、第1審の弁護側鑑定医の方が正しいことを補強した。
控訴審では、控訴審での弁護側鑑定及び、第1審でも出廷した検察側鑑定医を再度尋問した。
第1審判決は、被告人がイライラしていたから動機は了解可能という論理であったが、イライラしていることと、車で人を跳ねて死なせることは飛躍が大きすぎることや、そもそもイライラした精神状態も病状の悪化が原因であることを主張した。

判決の内容
検察側鑑定医は、事件直前の病状の悪化を十分に考慮せず、精神の障がいが犯行に与えた影響についての説明も合理性がない。基本的には弁護側鑑定医に依拠して判断すべきところ、本件犯行時、統合失調症が悪化した状態にあり、了解不能な興奮状態にあったことから、事理弁識能力及び行動制御能力が残っていたことについても合理的疑いが残る。
原判決を破棄し、無罪を言い渡した。

判決日
令和元年8月29日

その他備考
控訴審で確定。