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当事務所の無罪事例【一審無罪】

覚せい剤取締法違反、関税法違反、出入国管理及び難民認定法違反事件

事案の概要
①覚せい剤を密輸した事件と②密入国して7年間不法滞在した事件。

争点
① イラン人の被告人が共犯者と共謀して、タイから覚せい剤16キロを密輸しようと貨物で発送し、東京税関で発覚した。共犯者が税関に荷物を受け取りに行くのに、被告人も同行していたが、被告人は覚せい剤の密輸だとは知らず、共謀がないと主張して無罪を争った。
② 不法滞在の事件は争いがない。

審理の内容
密輸に関わったと思われる共犯者は既に出国しており、被告人の税関等での行動を記録した防犯カメラ、関係者との連絡に使われた防犯カメラなどが取り調べられた。
被告人が共犯者に現金を渡している点や、密輸に使用されたと思われる携帯電話を被告人が使用していた、などと検察官が主張した。
弁護側は、被告人は日本でイランとの送金を行う地下銀行や通訳の仕事をしており、あくまで業務として共犯者に同行しただけであることや、検察官が主張する携帯電話は被告人は使用していないとして、被告人質問が重要な事件であった。

弁護活動のポイント
携帯電話の点については、通話記録を精査し、別人物が使用していたことが窺われる事情を明らかにした。
地下銀行の点については、証人を立てたほか、銀行の履歴も取り寄せた。
総じて、被告人に不利にみえる状況証拠が複数存在したため、それらを合理的に説明できるケースセオリーを構築した。

判決の内容
検察官が主張する携帯電話を被告人が使用していたことには合理的な疑いが残る、
地下銀行に関する被告人の供述も、裏付けがあり、直ちに排斥することができない。
認めている不法滞在のみ有罪認定をして、覚せい剤取締法違反、関税法違反は無罪。

判決日
平成25年5月28日

その他備考
検察官控訴で、破棄されて有罪となり上告するも確定。