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当事務所の無罪事例【認定落ち等】

殺人事件

事案の概要
被告人である78歳の母親が、娘の左首をペティナイフで突き刺し、殺害したとされる事件
被害者は白血病を患い被告人が長年看病してきたが、事件直前被害者から暴言を吐かれ体を掴まれたことから、そばにあったペティナイフを持ち出したところ、もみ合いとなり、ナイフが刺さってしまった。

争点
被告人はもみ合いの中で刺さってしまっただけであり、殺意の有無が争点

審理の内容
家庭内で起きた事件であり、目撃者等はいなかった。
駆けつけた救急隊や警察官の証人尋問が行われた。
また、被告人は逮捕直後、殺意を認めるかのような供述調書が警察官によって作成されており、その信用性も争点となった。
遺体の傷の状況等から、死の危険が分かった上での意図的な行為であるのか、意図しない結果であったかが重要な争いとなった。

弁護活動のポイント
首の怪我の状況からは、意図せず刺さった可能性もあり、犯行直後の供述調書は混乱の中作成されたもので信用性がないことを主張した。弁護人に選任された直後に、殺意を否定する弁護人作成の供述調書も作成しており、それも証拠提出した。

判決の内容
左首の傷の状況からは、直ちに被害者の首周辺をめがけてナイフを突き出したとは言えず、被害者の何らかの動作により結果として刺さった可能性も否定できない。
事件直後の殺意を認める調書は、経緯が唐突であることや、弁護人作成の調書があることからすると信用できない。
殺人罪を認定することはできず、傷害致死罪が成立するとした上で、被告人が長年看病しきたことや前科前歴がなく高齢であることなどから、懲役3年執行猶予5年の判決となった。

判決日
平成22年7月15日

その他備考
第1審で確定。