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当事務所の無罪事例【一審無罪】

覚せい剤取締法違反(営利目的輸入、営利目的所持)、関税法違反事件

事案の概要
氏名不詳者と共謀の上、営利目的で覚せい剤を貨物に隠匿して航空貨物として外国から日本に密輸し、日本で所持したとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入、営利目的所持)、関税法違反に問われた事案。

争点
争点は、覚せい剤を営利目的で輸入する等することについて、氏名不詳者と共謀したといえるか否かの共謀が争点となった。
被告人は、覚せい剤を密輸するとは知らず、日本で仕事があると騙されて来日し、日本での覚せい剤の受け取り役などに利用されたもので、共謀を争った。

弁護活動のポイント・審理の内容
公判前整理手続における弁護活動として、検察官に対する証拠開示を徹底して行った。
証拠開示を受けた証拠の中から、被告人が日本で仕事があると騙されて来日したことを裏付ける仕事に関するメッセージのやりとり、メモ、写真、名刺などを弁護側の証拠として請求した。
また、実際に日本で騙されて仕事をしていたことを裏付ける証拠として、仕事に使用した物品やその内容を撮影した写真等も弁護側の証拠として請求した。
さらに、弁護側の証人として、他にも密輸については知らされず騙されて関わることになった人について証人尋問を行うようし、被告人も同じように騙されて来日したことを裏付けるようした。

検察官は、来日費用を負担してまでする日本での仕事内容が不合理、不自然で通常の一般人であれば疑問や不信を抱くもので被告人の話が信用できないという主張をした。
これに対して、弁護人からは、被告人の来日経緯を詳細に明らかにした。
長年仕事で付き合いがあり信頼していた人物から紹介があった仕事であり、こうした人物を信頼して騙されてしまったもので不自然ではないことを明らかにした。

判決の内容
判決においては、被告人の覚せい剤を密輸するとは知らず、日本で仕事があると騙されて来日したとする旨の供述の信用性につき、被告人が紹介を受けたと供述する日本での仕事内容等についておよそ不自然とはいえないと判断された。
また、仕事に関するメッセージのやりとり、メモ、名刺などが被告人の供述内容に整合しているといえると判断された。
弁護人側の証人として証人尋問を行った人物も、被告人の供述内容とよく似た話で騙されていたことがうかがえると判断された。
被告人に覚せい剤の輸入の故意が認められないとして、覚せい剤を営利目的で密輸したとする覚せい剤取締法違反、関税法違反については無罪の言い渡しがなされた。

判決日
平成30年1月30日